連日ニュースで報道されている、中国で流行中の“ヒトメタニューモウイルス”。
世界各国にも感染が広がっていて日本国内でも感染がみられていますが、WHO(世界保健機関)は“この季節における流行の予想の範囲内であり異常な流行ではない”と発表しています。
…とはいえ、聞き慣れない病気の名前に不安を感じるパパ、ママも多いと思うので徹底解説していきます!
ヒトメタニューモウイルスとは?
ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus:hMPV)は2001年にオランダで発見された新しいウイルスです。
発見されたのは最近の出来事ですがウイルス自体は40年以上前から存在していて、原因不明の呼吸器感染症としてヒトの間で流行していました。
ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスと同じ仲間のウイルスで、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こします。
子どもの呼吸器感染症の5〜10%、大人の呼吸器感染症の2〜4%はヒトメタニューモウイルスが原因といわれているかぜ症候群の一種です。
主な症状
熱
ヒトメタニューモウイルスに感染するとほとんどの子どもが発熱します。
インフルエンザのような38.5℃以上の高熱が出ることもあり、熱は4〜5日ほど続きます。
咳
痰がらみの激しい咳が1週間以上も長引くのが特徴です。
悪化するとゼイゼイ、ヒューヒューというような喘鳴が聞かれることもあります。
熱が下がったあとも咳だけ残ることも多いです。
鼻水、鼻づまり、中耳炎
咳と同じように鼻水も長く続きます。
鼻水が長く続く場合は中耳炎を合併することがあるので注意が必要です。
声枯れ、喉の痛み
長引く咳により声枯れや喉の痛みがでます。
喉の痛みで食欲の低下や水分が摂れないことで脱水症状がみられることもあります。
下痢、嘔吐
風邪症状とともに消化器症状がでることもあります。
急性胃腸炎と間違われてしまうこともあるので、他にどんな症状があるのかしっかり観察しましょう。
肺炎、呼吸困難
重症化すると肺炎や呼吸困難を引き起こし、入院して点滴や酸素投与、吸入などの治療が必要になることもあります。
月齢の小さい赤ちゃんや生まれつき心臓や肺に病気がある、神経疾患や筋疾患がある、免疫不全の基礎疾患がある、骨髄移植を受けたことがある方はとくに重症化する可能性があります。
また気管支喘息の方はヒトメタニューモウイルスによって喘息発作を起こしやすくなるともいわれているので注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症の特徴
流行する時期
ヒトメタニューモウイルスが流行するのは3〜6月とされていましたが、近年は夏などにみられることもあるため1年中いつでもかかる可能性があります。
潜伏期間
感染してから発症するまでの期間は4〜6日ほどです。
ウイルスの排泄は発熱1〜4日目が最も多く、熱が下がったあとも1〜2週間はウイルスの排泄があるといわれています。
感染経路
① 飛沫感染
→咳やくしゃみ、会話により口から飛び散るしぶきを浴びてウイルスを吸い込んで感染する
② 接触感染
→直接の接触、ウイルスが付着した物(おもちゃなど)を触ったり舐めて感染する
そのため保育園や幼稚園などで集団発生することが多いです。
クラスや園で流行していないか確認し、流行しているときや子どもに少しでも風邪症状があるときはマスクをするなど、うつらない・うつさない感染対策が大切です。
何度も繰り返し感染する
生後6か月までの赤ちゃんの60%はママからもらった免疫で守られていますが、2歳までに約30%、5歳までに約75%、10歳までにはほぼ全ての子どもが感染を経験するといわれています。
しかし終生免疫は獲得されないので何度も繰り返し感染します。
ただ感染するたびに少しずつ免疫がついていくので、だんだん軽症で済むことが多くなります。
検査
RSウイルスやインフルエンザの検査と同じように細い綿棒を鼻に入れ、ぬぐい液を使用した迅速診断キットで検査します。
5〜15分ほどで結果がでます。
症状からヒトメタニューモウイルス感染症が疑われる6歳未満の子どものうち、レントゲンにより肺炎が強く疑われるときに保険適応で検査されます。
治療
特効薬やワクチンはないため年齢や症状に合わせ対症療法をします。
水分や栄養をしっかりとり、温かくしてゆっくり休むことが治療になります。
咳や鼻水を抑える薬や痰切りの薬、熱を下げる薬などが処方されることがあります。
感染対策
ヒトメタニューモウイルスは飛沫感染と接触感染です。
こまめな手洗いうがいが大切です。
とくに指の間や指先は洗い残しが多いので意識して石鹸で丁寧に洗いましょう。
子どもが小さくて手洗いが大変なときはお手拭きやウエットシートで拭くとよいでしょう。
ヒトメタニューモウイルスにはアルコール消毒が有効です。
家族内で感染している人がいるときはドアノブなどの触れる場所やおもちゃなどもアルコール消毒すると接触感染予防になります。
寒いですが換気も忘れずに。
コップやタオルの共用をやめることも大切です。
バランスよく食べてよく寝る規則正しい生活を送って、免疫力を高めてヒトメタニューモウイルスに負けないように過ごしましょう。
急いで受診したほうがいいとき
こんなときは急いで受診しましょう。
① いつもよりぐったりしている、反応が悪い
② 呼吸が早い、呼吸が苦しそう、肩で呼吸している、喉や胸がべこべこへこむ
③ 食事、水分がとれない
④ おしっこの回数が減っている
いつから登園・登校できるの?
ヒトメタニューモウイルスは出席基準が定められていません。
そのため咳や熱が落ちついて全身の状態がよくなれば登園・登校できますが、通っている保育園や幼稚園の規定を確認しましょう。
しかし回復途中なのに無理に登園・登校してしまうとむしろ治りが遅くなってしまったり、体力が落ちている子どもに辛い思いをさせたり、友だちにうつしてしまうリスクもあるので慎重に判断しましょうね。
大人も感染する?
ヒトメタニューモウイルスは残念ながら大人も感染します。
大人の場合も子どもと同じような症状がでますが、幼少期から繰り返し感染しているため軽症であることが多いです。
免疫が低下している方や高齢者は重症化のリスクがあるので注意が必要です。
まとめ
ヒトメタニューモウイルスはとくに小さい子どもや高齢者の重症化リスクが高いため、子どもの感染予防は難しいですができる限りの対策を徹底していきましょう。
気になる症状があるときは、かかりつけのお医者さんに相談してみてくださいね。
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