夏のお楽しみといえば、夏まつり!
夏まつりでは食べる派?遊ぶ派?
遊ぶ派のみなさん、スーパーボールすくいには要注意!
スーパーボールで窒息してしまった事例とともに、改めてその危険性と対策を考えていきましょう。
スーパーボールで窒息した事例
今回は事例を2つみてみましょう。
ショッキングな内容もありますが、誰にでも起こる可能性のある事故なので目を背けずに読んでくださいね。
事例① 23mmのスーパーボール
年齢:3歳4か月
性別:男の子
場所:自宅の居間
時間:20:00頃
状況:夏まつりでスーパーボールすくいをして約10こ獲得した。自宅に帰ったあと母親は別室で家事をしていて、一緒に遊んでいた父親はトイレに行った。父親がトイレに行っていた5分間は男の子は1人で遊び、父親が戻ってきたときに男の子が苦しがっていて、声も出せなかった。窒息を疑った父親が救急要請した。
経過:救急隊が到着したときは意識障害はなかったがチアノーゼがあり、苦しそうな表情をしていた。病院に到着してレントゲン撮影で球体の異物が映り、器具でつまんでスーパーボールを取り出した。数時間の観察を経て異常がなかったため帰宅した。
(日本小児科学会雑誌2009年4月号掲載 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 傷害注意速報より抜粋)
事例② 35mmのスーパーボール
年齢:3歳9か月
性別:男の子
場所:自宅の居間
時間:18:00頃
状況:男の子が口の中にスーパーボールを2つ入れて遊んでいたところ、たまたま気づいた母親が「危ないから口から出しなさい。」と注意したら驚いてしまい1つを吸い込んで窒息した。口の中に残った1つのスーパーボールは母親が口に指を入れて取り出せたが、吸い込んだ1つは取り出せず窒息、救急要請した。
経過:窒息から37分後スーパーボールが詰まった状態で病院に運ばれ、器具でつまんでスーパーボールを取り出した。挿管して心臓マッサージを行い、20分後に心拍は再開したが自発呼吸は再開しなかった。脳波も平坦になった(=脳死)。意識の回復はなく、人工呼吸器を使用していたが6か月後に亡くなった。
(日本小児科学会雑誌2008年4月号掲載 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 傷害注意速報より抜粋)
事例①ではわずかに呼吸ができている状態で意識もありました。
このときの主治医は「保護者が異物除去を試みなかったことが結果的に重大な結果を回避できた。」とコメントしていますが、全例がその対応でいいのかはまだ正解が出ていないようです。
事例②も迅速に緊急要請したものの呼吸ができていない時間が長く、低酸素性脳症となり療養を継続していました。
亡くなった原因までは記載されていませんでしたが、このような悲しい転帰をたどることとなってしまいました。
窒息するとどうなる?
事例②で紹介したように、のどに詰まってしまったときは命に関わるため、一刻も早い応急処置と救急要請が必要になります。
多くの場合、窒息してから3〜4分で顔色が悪くなり、5〜6分で呼吸が止まって意識を失います。
その後、心臓が止まり、大脳に障害が起こって、15分が経過すると脳死状態になります。
窒息したときに見られる子どもの反応として
・のどを抑えて苦しそうにする(=チョークサイン)
・口に指を入れる
・声が出ない
・顔色や唇の色が悪くなる(暗紫色、青色)
などが見られます。
気道に異物が詰まって窒息したときに無意識に自分の首を掴む仕草をチョークサインといい、大人も子どもも、世界共通の苦しいサインです。
この仕草を見たら窒息を疑って異物の除去を試みたり救急要請をする必要があります。
窒息状態になると数分で呼吸が止まってしまうので、パパ、ママだけでがんばろうとせずいち早く救急車を呼び、待っている間に応急処置として背部叩打法や胸部突き上げ法を行います。
応急処置の詳しいやり方はこども家庭庁の『もしもの時の「応急手当方法」』で分かりやすいイラストとともに紹介されているので見てみてくださいね。
窒息を起こさないための対策
悲しい事故が起こらないようにしっかり対策をしていきましょう。
子どもの手の届かないところに置く
大前提として小さくて危険のあるものは高いところや鍵のついた棚の中にしまうなどして、そもそも子どもの手に触れないようにしたいところ。
しかし今回のように子どものおもちゃに潜む危険から事故を起こさないようにする対策を考えていくので、一旦手に届く前提で考えていきます。
4cm以下のおもちゃに注意!トイペの芯を使ってチェック!
子どもの気管の直径は5mm〜1cmほどととても細いのが特徴で、それ以上の大きさのものはなんでも詰まって窒息してしまう可能性があります。
また子どもが大きく口を開けたときの大きさが約3.9cmといわれています。
これはトイレットペーパーの芯の穴の大きさをほぼ同じ。
トイレットペーパーの芯を通り抜けるサイズのものは、なんでも口に入ってしまい、飲み込んでしまうリスクがあります。
トイレットペーパーの芯を使って、おうちにあるおもちゃのサイズを改めて確認してみてくださいね。
対象年齢に注意!
おもちゃのパッケージには対象年齢が書かれていますが、人から貰ったものなどは確認できないこともあります。
今回の事例でもあったように夏まつりで手に入れたスーパーボールにはパッケージがないので対象年齢や注意書きがわからない状態でした。
一般的にスーパーボールは6歳以上の子どもを対象としていることが多いですが、夏まつりでは小さい子どももスーパーボールすくいを楽しんでいるので持ち帰った後は実は危険なのです。
パパ、ママが「大丈夫だろう。」と思っている年齢でも口に入れてみたくなってしまうのが子どもの好奇心。
対象年齢に関わらず安全に遊べるか?をよく考える必要がありますね。
小さいきょうだいがいると上の子のおもちゃが魅力的に見えてしまい、なんでも触って口に入れたくなってしまいます。
スーパーボールだけではなく、ビー玉やビーズなど小さくて細かいもので遊ぶときはテーブルの上で遊んだり、別々の場所で遊ぶようにしましょう。
お片付けをするときはパパ、ママも一緒に確認して、床に落としっぱなしになっていないかチェックしましょう。
丸くてツルっとしたものに注意!
スーパーボールのように表面がツルっとしていて丸いもの、弾力があるものは飲み込みやすく、取り出すのも難しいため時間がかかってしまいます。
時間がかかればかかるほど身体にかかる負担は大きくなり、後遺症を残すリスクも大きくなってしまいます。
危険な形、素材でないかをよく見極めましょう。
のどに詰まって窒息してしまうのはおもちゃだけではありません。
うずらの卵やぶどう、プチトマト、こんにゃくゼリーなど注意が必要な食べ物もあります。
おしゃべりしながら食べない、笑ったりおふざけして食べない…など食事のマナーと合わせて安全な食事のとりかたも伝えていきたいですね。
まとめ
楽しい夏の思い出を悲しいものにしたくないので、しっかり対策をしながら遊びたいですね。
もちろん家庭内だけの努力だけではなく、おもちゃを販売する企業が安全対策として丸いおもちゃには穴を開けて通気孔をつくるなど工夫をする必要もあります。
まずは家庭内で手軽にできるトイペの芯を使ってパパ、ママがおもちゃに潜む危険を知ることが重要です。