暑い夏がやってきました。
幼稚園や小学校から水筒の持参をお願いされることもありますよね。
たくさんの持ち物に、水筒まで…。荷物が多くなってしまうからと、水筒を首や肩からさげていませんか?
たしかに熱中症予防のためにこまめな水分補給は大切ですが、首や肩からさげた水筒にも思わぬ危険が潜んでいます。
水筒を持ち歩いて転倒した事例
消費者庁・国民生活センターには水筒を持ち歩いているこどもの転倒事故の報告が寄せられています。
年齢:7歳5か月
性別:男の子
場所:小学校の入り口
時間:朝の登校中
天気:雨
状況:傘をさして走っていたら硬い土の上でつまずいて転倒。勢いよく回転するように転び、地面とお腹の間に首からさげていた水筒が挟まりお腹を強く打った。ぐったりして嘔吐が続いたため病院を受診した。
経過:受診してからも活気がなかったり顔色が悪かったりしたため血液検査や腹部のCT撮影を行い、膵損傷や腎損傷と診断された。手術も行い、膵臓の50%程度と脾臓を摘出した。約1か月半の入院を経て軽快して、無事に退院した。
(平成28年3月1日 日本小児学会こどもの生活環境改善委員会 傷害速報より抜粋)
お腹をぶつけたことによる怪我は大人よりこどものほうが多いことが分かっています。
その理由として、こどもの胴体は短いが臓器自体は大きいため、内臓は互いに密接して詰まっていて、とくにお腹は薄い皮下脂肪と少ない腹壁筋で守られているだけなので、肝臓や脾臓、腎臓などは外からの強い力が直撃してしまうからです。
水筒以外にも自転車に乗っていて転倒してハンドルにお腹をぶつけたり、遊具で遊んでいたところ落ちてしまってお腹をぶつけたりする事故で同様の怪我をした事例もあります。
パンチやキックでの怪我でも起こりうるので、おふざけでパンチやキックはしないようにこどもに伝えましょう。
お腹をぶつけたらどんな症状がでる?!
お腹をぶつけたこどもにはどんな症状がみられるでしょうか?
いちばん多いのは腹痛の訴えです。吐き気や嘔吐、活気のなさ、顔色の悪さ、血の混じったおしっこなどもみられます。
内臓から出血していると、立ったり歩いたりできないほどの激しい痛みがあります。
お腹をぶつけたことを知らないと、腹痛や嘔吐も胃腸炎などと間違われてしまい診断が遅れる可能性もあります。
お腹をぶつけたときには痛くなくても先生やパパ、ママに報告するよう教えておきましょう。
とくに触っても痛がらなければ軽く転んで当たっただけのこともあるので様子を見ても大丈夫ですが、触ると痛がったり、急に痛みが増したり、活気がなくなってきたら至急受診してください。
お腹をぶつけた後はいつも以上にこどもの様子を注意深く見る必要があります。
怪我を予防するための対策は?
このような事故や怪我を起こさないために、どんな対策ができるか考えていきましょう。
水筒はかばんに入れる
できるだけ首や肩から水筒をさげずに、かばんや手提げの中に入れて持ち歩くようにしましょう。
首や肩からさげるしか方法がないときは、洋服の端に水筒の紐をクリップなどで留めて身体の前にこないような工夫をしましょう。
走らない
7歳の男の子の事例にもありましたが、走ることでさらに勢いがついてしまい、転んだときの衝激が増えてしまいます。
前を見てゆっくり歩くようにしましょう。
車道と歩道の間にあるようなポールにもぶつからないよう注意が必要です。
遊ぶときは水筒を置く
水筒を持ったまま遊ばないように伝えましょう。
また、水筒だけではなく家の鍵やキッズ携帯などを首からさげたまま遊んでしまうこともありますが、引っかかって首がしまってしまう危険性もあるので、これらも外して遊ぶように伝えましょう。
まとめ
健康のために持ち歩いている水筒が凶器になってしまうなんて恐ろしいですね。
怪我をしないように工夫をしながら、お腹をぶつけることの危険性を改めてこどもと話し合ってみるとよいですね。
暑さ対策をしながら安全に元気いっぱい夏を楽しみましょう!
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