食物アレルギーは乳幼児を中心に10人に1人程度みられ、定期的に通院している子どもも少なくありません。
アレルギーっ子のパパ、ママなら聞いたことがあるかもしれない“食物経口負荷試験”とはどのようなものでしょうか?
小児科で働く保育士が実際に見ている負荷試験の様子をまとめたので、これから受ける予定があるなら心の準備におすすめです。
食物経口負荷試験とは?
食物経口負荷試験(Oral Food Challenge=OFC)は、食物アレルギーが疑われるときに医療機関で実際にその食品を少量ずつ食べて、アレルギー症状が出るかを確認する検査です。
「えっ、アレルギーかもしれないのに食べさせるなんて危険なことでは…?」と思うかもしれませんが、アレルギーの原因物質を完全に避け続けることで治るはずのアレルギーも治りにくくなったり、過度に避けてしまうことで栄養の偏りによる成長面での課題もあります。
そのため、“症状の出ない範囲で食べ続ける”ことが上手な付き合い方・治療です。
食物経口負荷試験(※長いので以下“負荷試験”と表記)の目的は大きく3つあります。
①食物アレルギーかどうかを正確に診断する
②食物アレルギーと診断された人の食べられる量を確認する
③食負荷を受けてアレルギーが治っているかを確認する
食物アレルギーは血液診断のみでは診断できず、負荷試験が必須です。
食物経口負荷試験の流れ
それではここからは実際の負荷試験の流れをみていきましょう。
クリニックや外来で負荷試験をすることもありますが、今回はより中が見えにくい病棟で“日帰り入院”して行う流れをまとめます。
負荷試験当日の流れをざっくりと知り、心の準備をすることを目的にある一例をご紹介するため、当日は実際に負荷試験をする病院の指示に従ってくださいね。
① 忘れ物がないか家を出る前にチェック
負荷試験で使う食材は基本的に持ち込みが一般的。
事前に指示された負荷食を忘れずに準備し、衛生面に気をつけて持って行きましょう。
(たまーーにあるんです、負荷食を忘れて取りに帰るパターン…)
どの食材でアレルギー反応が出たか分りにくくなるため、負荷試験中は負荷食以外のものは食べられません。
そのため飲み物もお茶や水のみなど制限がかかります。こちらも忘れずに。
長丁場になることもあるので暇をつぶせるお気に入りのおもちゃや、万が一嘔吐して汚してしまったときのお着替えも準備しましょう。付き添うご家族の着替えもあるとより安心です。
他に、入院や検査に必要な書類がある場合もお忘れなく。
② 時間に遅れず病院へ向かう
子どもが嫌がって予定以上に時間がかかることもあります。
時間に余裕をもって入院病棟へ向かい「負荷試験で来ました。」と伝えましょう。
③ 身体測定をする
病院についたら看護師と一緒に身体測定をします。
万が一症状が出てしまったときに速やかに薬を使用できるよう、事前に体重に合わせた薬剤を準備するためです。
さらに元々の呼吸の音なのか、アレルギー症状でゼーゼーしているのかを判断するために聴診や血圧測定なども行います。
この時点で泣いてしまう子どももいますが、病院のスタッフは「そうだよね〜、嫌だよね〜。」という気持ちで慣れっこなので気を使わなくて大丈夫。
④ 医師や栄養士の問診を受ける
体調チェックや栄養士からの問診があります。
気になることがあるときは遠慮なく伝えましょう。
⑤ 点滴を確保する
万が一に備えて事前に点滴を確保することがあります。
点滴は留置だけしてテープや手袋で巻かれて外からいじったり見えないようにしてくれます。
最後まで症状がなければそのまま外して帰れますが、強く症状が出た場合に治める薬を点滴から投与する可能性があるので、引っ張ったり固定している部分を緩ませないようにしましょう。
⑥ 負荷食を食べる
負荷試験の内容によって、食材の量や食べる回数は変化します。
1回食べて30〜60分ほど様子を見て、何も変化がなければ2回目、3回目…と続いていきます。
待ち時間に飽きてしまったり、空腹で不機嫌になる子どもも多く、パパ、ママが一番困るのがこの時間の過ごし方です。
お家から持ってきておもちゃで遊んだり、病院のおもちゃを借りられることもあるので困ったときには相談してみましょう。
運動をする(動き回る)ことで食物アレルギーが誘発されることもあるので、基本的にはお部屋で大人しく過ごすように指示されることが多いと思います。
許可がでれば病棟内のお散歩やプレイルームなどで遊ぶこともできるのでこちらも気になるときには相談してみてください。
⑦ 症状が出ていないかチェックする
負荷食を食べたあとの観察時間は何かしらの症状が出ていないか注意深く観察しましょう。
チェックするポイントは…
・口
口の中の違和感・かゆみ、唇・舌の腫れ、喉の違和感・かゆみ
・皮膚
赤み、かゆみ、じんましん、顔やまぶたの腫れ
・目、鼻
目のかゆみ、充血、まぶたの腫れ、涙、くしゃみ、鼻水
・呼吸
咳、ゼーゼーヒューヒューする、声のかすれ、息苦しそう
・消化器
吐き気、腹痛、嘔吐、下痢
・その他
顔色が悪い、ぐったり、意識がおかしい、機嫌が悪い
子どもは体調の悪さを上手く言葉で伝えられません。
気にして何度も触ったり、こすったり、口をもぐもぐさせたり…と、普段と様子が違うかも?という行動があるときは要注意!
気になることがあれば遠慮なくナースコールを押して、看護師さんにも一緒に観察してもらいましょう。
⑧ 負荷試験の終了
予定していた回数の負荷食を食べ終わり、何も症状が出ないことが確認されれば今回の負荷試験は以上になります。
時間によっては軽食などが提供されることもあるので、ようやくお食事の時間となります。
朝から断食して負荷試験に臨んでいる子どもは腹ペコです。
出現した症状の程度によっては医師の指示で負荷継続となることもありますが、途中で症状が出てしまった場合はその時点で終了となることが多いです。
あまり多くはありませんが、とても強い症状が出てしまったときは経過観察のためそのまま入院して一晩様子を見ることもあります。
負荷試験の結果により、食物アレルギーの診断がおりたり、逆にアレルギーが落ち着いたことが確認できたりします。
また、“症状の出ない範囲”が明らかになり、段階的に除去が解除となって自宅でも毎日少量ずつ食べ続ける治療、いわば“宿題”が出されることもあります。
⑨ 帰宅後の過ごし方
病院では何の症状も出なかったとしても、帰り道やお家に帰ってから症状が出てしまうこともあります。
時差で症状が出たときの対処法をあらかじめ確認しておき、症状に気がついたら速やかに対応しましょう。
緊急時のお薬がある場合は飲ませて病院へ連絡を、お家で対応が困難なほど強い症状がでた場合は遠慮なく救急要請をして、日中に食負荷をしたことを伝えましょう。
帰宅後はできるだけ安静に、大人しく過ごすことが推奨されています。
激しい運動もアレルギー症状を誘発するため、習い事などがある場合も控えましょう。
また、身体が温まり血行がよくなるとじんましんやかゆみが出やすくなるため、お風呂に浸かるのは控え、シャワーでぱぱっと済ませるか控えるのが◎
帰宅後もいつ、どのタイミングで症状が出るかわからないので、子どもを1人にせず必ず大人が付き添い、見守るようにしましょう。
負荷食を食べてくれない!どうしよう!
子どもによっては普段あまり食べ慣れていない食材を試すため、嫌がって食べてくれないこともあります。
少量であれば水を飲んで流し込んでしまうこともありますが、あまりにも大泣きしているとそれで吐いてしまうこともあり、アレルギーなのか泣きすぎなのか判断がつきにくくなってしまうことも…。
ここがパパ、ママの力の見せどころ。食べてもらえるようにちょっとだけ頑張ってみてください。
どうしても…のときは、医師や看護師から調味料の許可やごはんと一緒に食べるなどアレルギーの心配のない組み合わせを提案してもらえることもあります。
大泣きして吐きそうになったり、全く口を開かず負荷試験が成立しないようなときも相談してみるとよいでしょう。
何か妥協案がいただけるはず…。
まとめ
アレルギーのある食材を自ら食べにいくなんて、とてもドキドキして不安になると思います。
負荷試験は極少量から始めるので症状が出ないことが多いですし、万が一があっても速やかに処置してもらえる安全な環境であるため安心して病院に来てくださいね。
とくに小さな子どもに多い乳、卵、小麦は食べ続けることで多くは耐性を獲得して問題なく食べられるようになります。
アレルギー症状を怖がって過度に避けることなく、適量を継続することが大切なため、まずはかかりつけのクリニックに相談して時間をかけて治療していきましょう。

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