体調を崩してしまったり、定期検査などで子どもでも採血をすることがたまにあります。
そんなときお医者さんや看護師さんから「パパ、ママは待合室でお待ちくださいね〜。」と子どもだけ連れていかれてしまった場面、経験ないですか?
大泣きして手を伸ばしてくる我が子が遠ざかるのを見ているだけ…
でもそれには理由があったんです。
「待合室で待っててね」の理由は?
パパ、ママや付き添いの家族から子どもだけお預かりして処置へ向かうのは、いくつか理由があります。
処置スペースの確保
採血のときは針を扱うので子どもが動いてしまうと危険です。
とくに小さい子どもは大暴れで全身で拒否をすることがほとんどなので、安全のため子どもをタオルで巻いたり看護師さんが腕を抑えて固定します。
そのため狭い処置スペースに大人が数名ほど集まるなんてことも…。
安全に採血を行うために処置スペースを確保する必要があります。
パパ、ママへの配慮
いくら我が子のものとはいえ、血液を見るのが得意でないパパ、ママもいるでしょう。
病院にいる間は緊張感や不安、目の前で嫌がる子どもを見ているため普段以上にソワソワどきどきしてしまいます。
そのためパパ、ママの不安や不快な気持ちを少しでも軽減させるために子どもだけで処置室へ向かっています。
スムーズな処置のため
採血は子どもはもちろん嫌ですがパパ、ママの覚悟も必要です。
いざ針を刺そう…という瞬間に「あぁ!ちょっと待ってください!!」なんて言ってしまうと、スムーズに処置が進まなくなってしまいます。
採血結果がわかるまでに時間がかかってしまうし、子どもはずっと固定されたまま…待っている他の患者さんにも迷惑をかけてしまいます。
お医者さんや看護師さんに子どもをお願いして、ささっと終わらせてもらいましょう。
医療スタッフの集中のため
子どもの血管は細く、大人より採血の難易度が高いです。
針を刺すことは侵襲的な行為なのでお医者さんや看護師さんもできれば一発で成功させ、すぐに採血を終わらせてあげたいと思っているでしょう。
お医者さんや看護師さんもプロフェッショナルなので、パパ、ママの目があるからといって動揺してしまうことはないはずですがプレッシャーや緊張感は高まってしまいます。
そんな働く人への配慮として別室対応をお願いしていることもあるようです。
親子の信頼関係を崩さないため
ほとんどの病院が親子別で処置をしている大きな理由はこれではないかと思います。
採血されるとき、大好きなパパ、ママがもし隣にいたら…
こんなに嫌がっているのに、大好きなパパ、ママが助けてくれなかったら…?
見てるだけで何もしてくれないの…?
場面によってはパパ、ママにも「動かないの!」なんて強く言われて抑えられてしまったら……?
子どもは大好きなパパ、ママに「裏切られた」と感じてしまうでしょう。
親子の信頼関係を守るため、嫌なことをする空間にはパパ、ママは入らないで別室で処置が終わるのを待っていてもらっているのです。
パパ、ママができることは?
パパ、ママができることは、がんばって採血をしてきた子どもに「おかえり!がんばったね!」とぎゅっと抱きしめて、たくさん褒めてあげることです。
不安ななか嫌なことを乗り越えてきた子どもをしっかり労ってあげてください。
大好きなパパ、ママのところへ戻ってきた子どももほっと安心するでしょう。
子どもの権利に反していない…?
さまざまな理由によりほとんどの病院が親子別で処置を行なっている一方で、こんな意見もあります。
子どもの権利に反していないのか?
2022年に日本小児科学会が策定した“医療における子ども憲章”という11の条文があり、そのうちの1つに『4.病院などで親や大切な人といっしょにいる権利』というものがあります。
これは恐怖や不安が多い医療現場において、子どもが希望すればパパ、ママ、もしくはそれ以外の安心できる大人と一緒に過ごせるように配慮しなくてはならないという内容になります。
この根拠となる法律は子どもの権利条約の第3条(最善の利益)、第9条(親と引き離されない権利)、第18条(親の第一次的養育責任)にあたります。
このように、子どもが採血のときに「パパ、ママと一緒にいたい。」と主張したら、本来であれば一緒に処置の場に同席してもらわなければいけないという考え方であり、多くの病院が行っている親子別室対応に反論する意見となっています。
病院によって対応はさまざまですが、もし子どもが「パパ、ママと一緒にいたい。」と言っている場合にはお医者さんや看護師さんに同席の希望を伝えてみるのもよいでしょう。
まとめ
医療の場においてパパ、ママができることは、納得のいく説明を受けたうえでお医者さんや看護師さんに従い子どもの治療が円滑に進むよう見守り、子どもの不安な気持ちや嫌な気持ちを受けとめることではないかと思います。
親子別室の対応にはさまざまな理由がありましたが、お医者さんも看護師さんも決して子どもやパパ、ママに意地悪を言ってお願いしているわけではなく、むしろ“子どもからの嫌われ役”を自ら買って出てくれているとも言えるでしょう。
その分パパ、ママはしっかり子どものがんばりを労ってあげてくださいね。
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