甘くておいしいはちみつ。
栄養もあって風邪予防にもなるはちみつですが、1歳未満の子どもにあげてはいけません。
…とはよく聞きますが、その理由も知っていますか?
パパ、ママが知ることはもちろん、普段お世話になる周りの方へも注意喚起していきたい内容です!
はちみつには中毒を起こすボツリヌス菌がいる!
はちみつの中には“ボツリヌス菌”が含まれていることがあります。
ボツリヌス菌は海や川、土の中など身近なところに存在している細菌で、芽胞(がほう)を形成します。
芽胞とは固い殻に閉じこもった種子のようなもので、芽胞のままでは増殖できませんが、熱や乾燥などに強いため厳しい環境でも生き延びることができます。
ボツリヌス菌の芽胞の耐熱性は120℃、4分以上とされているため、通常の加熱や調理では殺菌できません。
ボツリヌス菌は酸素があると増えることのできない偏性嫌気性菌(へんせいけんきせいきん)のため、酸素の少ない状態で発芽・増殖して強い毒素を産生します。
ハチを介してはちみつの中にボツリヌス菌が入り、それを食べた人間の腸内でボツリヌス菌が発芽・増殖して毒素を出し、中毒を起こすのです。
この毒素は現在自然界で知られている毒素の中では最強であるといわれています。
乳児ボツリヌス症ってなに?
乳児ボツリヌス症は、生後1年未満の乳児がボツリヌス菌の芽胞(はちみつ)を摂取して、腸内で増殖して産生されたボツリヌス毒素の作用により発症する病気です。
乳児ボツリヌス症の症状として、数日間続く便秘、活気のなさ、哺乳不良、泣き声が小さくなる、全身の筋力低下、脱力、無表情、首の座りが悪くなる、呼吸がゆっくりになるなどがあります。
症状がひどい場合には呼吸不全や死亡例もあります。
赤ちゃんが食べた食品や便・血液からボツリヌス毒素が検出されることで診断されます。
潜伏期間は3〜30日、適切な治療を受けると後遺症もなく治癒することがほとんどです。
日本で初めて乳児ボツリヌス症が診断されたのは1986年、2020年までに42例の報告があり、死亡例は1件です。
42例とも1歳未満で、中央値は生後6か月です。
生後11か月の赤ちゃんでも4例の報告があります。
しかしはちみつを食べていない赤ちゃんからも乳児ボツリヌス症の報告があり、周りの環境からボツリヌス菌の芽胞を摂取してしまったといわれています。
乳児ボツリヌス症を予防するには?
1番の予防は1歳未満の子どもにはちみつを与えないこと!
はちみつそのものはもちろん、はちみつ入りのパンやお菓子、異性化液糖(コーンシロップ)やカレーのルーなども気をつけなくてはなりません。
パッケージにある警告表示をよく見てから買うようにしましょう。
他にも黒糖や自家製の野菜ジュース、井戸水などにもボツリヌス菌の芽胞が隠れている可能性があるので避けたほうがよいでしょう。
お野菜やくだものはよく洗って加熱するようにしましょう。
まとめ
本来はちみつは栄養豊富な食べ物です。
ボツリヌス菌ははちみつの瓶の中で増えることもなければ、健康な大人や1歳以上の子どもではボツリヌス菌が体内に入っても他の腸内細菌との競争に負けるため腸内で発芽・増殖することもありません。
またママの母乳を通して赤ちゃんに影響もでません。
子育ての“常識”や“あたりまえ”は時代によって変わっていくものです。
はちみつには中毒を起こすボツリヌス菌がいることをじいじやばあば、普段あまり会わない親戚にも知ってもらうことが大切ですね!
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