こどもってどんな味が好きで、どんな味が苦手だと思いますか?
「うちの子はピーマンが苦手で…」「トマトは食べてくれなくて…」
パパ、ママとしては何でもバランスよく食べてほしいけれど、食べてくれないこどもにも立派な理由があるようです。
こどもの好きな味、苦手な味を知れば好き嫌いやお残しにも少し優しくなれるかも?
どうやって味を感じているの?
人間の舌や軟口蓋(上顎の奥にある柔らかい部分)などのブツブツの中に『味蕾』と呼ばれる味を感じ取る細胞があります。口に入った食べ物の味は味蕾の中の味細胞を通して味覚神経細胞に伝わります。そして味覚情報を伝える神経を通じて大脳皮質の味覚中枢に送られ、味を判断しています。
この一連の仕組みを『味覚』と言います。
味蕾の数は妊娠5か月頃から生後3か月頃が最も多く、味を敏感に感じているといわれています。
その後も味覚の発達は続いて10歳頃にはピークを迎えますが、大人になってからもこの発達は続きます。
大人にとってはなんてことない味つけも、味に敏感なこどもには濃いと感じてしまうことがあります。
また、最初から濃い味を知ってしまうと食べ物の本来の美味しさに気がつけなくなったり、濃い味のものしか好まなくなってしまうこともあります。
濃い味のものを食べ続けると塩分の摂りすぎなどにも繋がり身体にもよくないので、こどものうちはとくに薄味にすることを心がけましょう。
基本の『五味』を知ろう!
さて、どうやって味を感じるかは分かりましたが、そもそも味ってどんな種類(味質)があるのでしょうか?
① 甘味
② 塩味
③ 旨味
④ 酸味
⑤ 苦味
これら5つの基本の味に分けることができ『五味』といわれます。
辛味や渋味は刺激やしびれとして感じる感覚のため、基本の五味には入りません。
甘味、塩味、旨味は“からだにとって必要なものを知らせる味”で、人が本能的に好む味です。
エネルギー源になる糖分やからだを作ったり整えたりするたんぱく質やミネラルを求めているからです。
一方で酸味と苦味は“からだにとって危険なものを知らせる味”のため、人が本能的に避けようとする味になっています。
腐っていたり毒が入っているかもしれないと身体が防衛しようとするんです。
こどもが甘いくだものやしょっぱいフライドポテトを好んで食べたり、苦い薬や野菜、酢の物を嫌って食べてくれないのは人間がもっている本能のせいでもありました。
赤ちゃんはいつ頃から味が分かるの?
赤ちゃんはいつ頃から味を感じ分けているのかを調べた興味深い報告がありました。
イギリスとフランスの大学が、18歳から40歳までの妊娠32週から36週の妊婦100名を対象に共同研究を行いました。
対象を2グループに分け、にんじんの粉末が入った錠剤とケールの粉末が入った錠剤をそれぞれ飲んでもらい、20分後に4Dエコーの撮影を行いました。
するとどうでしょう。
にんじんの粉末を飲んだ群の赤ちゃんは、頬や口角が上がり“笑顔”のような表情を見せた一方で、ケールの粉末を飲んだ群の赤ちゃんはほうれい線がでたり下唇が下がる“泣き顔”のような表情を見せることが多いという結果になりました。
赤ちゃんはママのおなかの中の羊水を吸い込んだり飲み込んだりして味を感じていると考えられています。
この研究の結果からも赤ちゃんは甘い味を好み、苦い味を苦手としていることが分かりました。
このことから、妊娠中からさまざまな食べ物を食べて赤ちゃんにもその味を経験してもらうことで、生まれてから初めて出会う味への衝撃や嫌悪感が軽減されることが期待されています。
まとめ
こどもが好む味と苦手な味が分かり、我が子の好き嫌いにもちょっぴり寄り添った気持ちがもてるようになったのではないでしょうか?
それにしても、生まれる前から好き嫌いをしたり、ママが食べたものをおなかの中で一緒に味わってくれていたなんて驚きです。思わず誰かに話したくなっちゃうような研究でしたね。
誰にでも苦手な食べ物の1つや2つはあると思いますが、こどもと一緒に一口だけでも食べてみて、家族みんなで味覚を刺激してみてはいかがでしょうか?
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